OCM一級建築士事務所
 

2009年05月


  2009年5月31日(日)   
北鎌倉駅をおり、浄智寺の脇を抜け、尾根つたいに歩き、大仏坂まで、歩き、軽く汗をかく。 いつものコース。

「長谷」から江の電にのり「腰越」で降り、「庄虎」のアジフライを食べながら「江ノ島」まで歩き、「てんてん」で明石焼とビール。

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一服したあと、「鵠沼の家(2005)」にて雑誌の取材に立ち会う。
ひさしぶりに、“働いている渡辺氏”のきびきびとした動きを拝見する。
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  2009年5月30日(土)   
女の子のお弁当箱ほどの大きさのD級low-endアンプが届いた。
MacーBEHRINGER / UCA202 ーSDA-1000-MHTーortfone concorde 105……D級low-endの極み……しかし、いい音だ(当社比)……。

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写真、本日退役された機器達
30年選手のアンプ sansui au-207
20年選手のチューナー technics
一気に200枚のCDを格納できる10年選手「sony mega storage 200cd 」 ……よく闘った。

               §

30年前は、こんな時代 ex)探偵物語
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  2009年5月29日(金)   
ほったらかしにしてた「神保町プロジェクト」に決着をつける。

プロジェクトの概要を絵にすれば、こんな感じ。
大事な箇所は、消したから、情報は、漏洩しないと思う(笑)。

「がんばれ!グレート・ジンボー!」

……ほら、みんな、神保町に行きたくなってきたでしょ……
そういったプロジェクトなんです……

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「建築ツウ」は、建築や、街、人、お役に立てる仕事は何でもいたします。
(かなり、勝手にやらせていただける場合にかぎりますが……)

「よっ! “勝手メディア” !」

♪本日のBGM 「恋のメキシカンロック」橋幸夫
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  2009年5月28日(木)   
「その二十一世紀の課題を先取りするのが、『精神病的素質』をもった飛躍的妄想や躁鬱病的ホラ吹きのなすべき仕事だと、この『躁』的酔っぱらい対談の結論になってきた。」
埴谷雄高『さびしい文学者の時代』(中公文庫)

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建て主からの質疑に応答
見積先からの質疑に応答
現場からの質疑に応答
地盤調査結果に応答
日が暮れる

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夜、初対面の編集者お二人来所。
タウン系「和」関係のムック本への手伝い。

終わったと思ったら電話で知らない編集者から「和モダン旅館の指南はできますか」との打診。
「……アパホテルに泊まるような建築家、泊まった事も聞いた事もないおしゃれ旅館の指南はできぬ……」と、丁重にお断りする。
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  2009年5月27日(水)   
スーパーマーケットに「さごち」って魚がいたので、塩焼きにしてみた。

なんと淡白な味……が、食べ終わったサラダのオリーブオイルに浸して食べると、美味だった。

そういうもんだ……だから、それは、実験。

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らっきょの匂いが……尋常じゃなくなってきた……
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  2009年5月26日(火)   
昨晩、OCM農業試験場にて、らっきょ1kgを塩で漬けた。
2週間ぐらいで醗酵するはずだが、すでにくさい匂いが漂いはじめた。

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OCM農業試験場にて、「豆苗」と「さやえんどう」と「グリンピース」が同一であることを、発見した。

若芽を食べ、若莢を食べ、若豆を食べる……。
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  2009年5月25日(月)   
『芸術新潮』6月号出ました。
「ライトで一杯」というタイトル……つまりフランク・ロイド・ライト建築でビールを呑もう、という文章を書いています。

               §

すると、びっくりしました。
誌面に一緒に並んでいる岡尾さんという人のテーマが、僕が昨日散歩して(ふむふむネタとして使えるな……)と思っていたところそのものだったからだ……。

「日本橋三越本店の屋上」

そういったシンクロニシティーはおもしろい。
今はちょうどローズガーデン化しており、もちろんビールも飲める素敵な場所です。

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そう、ただ明石焼を食べ歩いているだけでなく、実はものすごく“調査”をしている。
あっ、ちなみに「三越本店」を設計した横川民輔は、明石市の二見町出身です……。
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  2009年5月24日(日)   
午、秋葉原にて「世界で一番小さくて安い中古のプリメインアンプ、一万円以下……」を捜すが、みつからない。
まず、中古オーディオ店たるものが、なくなっている……。

そのまま雨の中、とぼとぼと、神田、日本橋と歩き、東京駅の「にしむら日和」で明石焼を食べ、からだがまだおかわりをもとめているので、銀座の「どんぐり」で、明石焼をおかわりし、ハナマサでオリーブオイルを買って帰途につく。

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帰って、兵庫県香住産のハタハタを焼いて食べる。

日が暮れる。
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  2009年5月23日(土)   
午まえ、「大井松田の家」現場へ、地鎮祭。
そして、工務店との打合せ。
そして、工事契約。
そして、寿司屋にて、建て主ご家族との、懇親会。

OCMの設計力……と工務店の着工力…
夜は更ける……。

ありがたくも、新幹線に乗らせていただいて、帰途につく。

素晴らしき、一日。

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この写真
寺山修司の、「田園に死す」的な、風景。
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  2009年5月22日(金)   
午まえ、「国分寺の家」現場へ、配筋検査。

「瑕疵担保保障の検査機関の人」「設計者」「構造設計者」「現場監督」の検査を受けたアトの、静謐な現場。  美しい。

               §

帰り、西国分寺マインにて、激安食材につかまる。
・ちりめんじゃこ(150円/100g)
・あさり(50円/100g)
・かしわモモ(98円/100g)
・黒豆もやし

を買って帰り、あさりの砂抜きをしながら、日が暮れるのを待つ……。

明日は「大井松田の家」地鎮祭だ。
安全靴を磨いておこう……。
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  2009年5月21日(木)   
←午めし中継  
               §

14時前、歩き出す。
神宮のバッティングセンターで、マー君、ダルビッシュとかピチピチしたピッチャーのいるなか、あえて福間の90km/hをえらび、20球。

また歩き出し、赤坂離宮脇、千鳥が淵沿いを歩き、神保町へ。

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仕事で「蕎麦を食えば」という指令があったので、松翁へ。

ビール、日本酒2合、天ぷら、ざるそば、で4300円……。
(江戸っ子ぶるのって金がかかるんだな……)

とか、ぶつぶつ言いながら、また皇居沿いに新橋まで歩くが(なんだ……この前から向かってくる走者たちは……17時以降、ほろよいで、皇居沿いを時計回りに歩くのは、もうやめにしよう……)

散歩コースが、一つ減った。
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  2009年5月20日(水)   
高島大樹という人の白釉粉引五寸五分皿を買った。

白釉粉引はややもすると民芸調のやぼったい感じになるが、これはいい。
国境と時間を、するりと抜け出している感じ。

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午前、構造図と意匠図のすりあわせ。
午後、プレカット図のチェック。
エンジニアーとしての一日。

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夜、新参者の皿で遊ぶ。
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  2009年5月19日(火)   
「夜明け前の空が青色のとき、空には紫外線が満ちているので、この時、ウランガラスは蛍光を放つ。」

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先日建て主の奥さんが「これはウランガラスというもので、微量のウランが含まれているのよ」とおっしゃったが、自然科学系のご主人と建築家は「まさか……」と。

調べてみたら、本当にそうだった。

今度、和室のガラス棚にブラックライトを仕込ませて、光らせてみよう。
もしくは、夜明け前の空を待つか……。

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終日事務所にて作業。
夜、焼きビーフンに片栗粉を入れてしまい、巨大な“ビーフンダマ”になってしまった。

片栗粉扱いがへたくそだ。
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  2009年5月18日(月)   
朝から図面48枚×4部コピー。
郵便局にてエクスパックに詰め込み、各工務店へ送付。

午には、一度魂が抜けるが、また気をとりなおして、設計再開。

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夜、台所の整理等。

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午めし中継  「カレー
オリーブオイルで軽く香ばしく炒めた「しめじ、ピーマン、ニンジン」を添えて。
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  2009年5月17日(日)   
食べた後の豆苗の種が、まだ元気そうだったので、まだ寒い3月頃、植えて、毎日水をやっていると、先日花が咲き、おまけに実った。

と、いうか、「豆苗」の豆って、さやえんどうだったんだ……ということを知らなかったので、びっくりした。

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終日、事務所にて作業。
主に、プリントアウト。

夜はカレーをつくったり、焼豚をつくったり。
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  2009年5月16日(土)   
午後「鶴ヶ島の家&clane studio」へ。

リスニングルームにJBL66000を基軸とした機器が入ったので、試聴する。
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  2009年5月16日(土)   
スタジオにはEDENのベースアンプ(350W)が入ったので、K2の愛機ムスタングベースで、試奏する。

ドラムは息子さん、ギターはご主人、K2がベース、ひたすらセッション。

日が暮れる。
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  2009年5月16日(土)   
「鶴ケ島の家」
HOUSEは誰でもつくれる。
いいHOMEはできそうか……。

座敷童のように“家族の風景”を観照する。
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  2009年5月15日(金)   
「部屋を見廻してみると、なるほど建築上のいろんな装飾を寄せ集めたものにすぎぬように見えるだろう。」

「この効果を不調和と感ずるのは、臆病な人間だけだ。場所柄にふさわしいか、特に、時にかなっているかどうかということを、化け物みたいにこわがるあまり、壮麗なものがみえなくなるんだ。」

「かつては、このぼくも、端正なものをありがたがっていた。だが、愚劣を理想化するあんな真似には、ぼくはもう、うんざりしている。」

『ポオ小説全集ー約束事ー』エドガー・アラン・ポオ(創元推理文庫)

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「蓮根の家」構造図のチェックバック、実施設計図最終調整
「国分寺の家」配筋検査日程調整、人通口下部配筋補強の必要性検討
「大井松田の家」契約日、地鎮祭などの日程調整、図面製本だし

毎日のことだが、様々なところに脳波をとばし、日が暮れる。
間食として、本をつまみ食いながら……。
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  2009年5月14日(木)   
「私人の生活の場はここで初めて労働の場所と切り離され、生活はまず室内で為されるようになる。」

「帳場に座って世の動きを考える私人は、室内に溢れるさまざまな幻想に安らぎを求める。」

「そして自己の私的な環境をつくりあげるに際しては、幻想に満ちた室内が出来上がってくる。私人にとってはこれが宇宙なのであって、彼はそこに異郷と過去を蒐集する。彼のサロンは、世界劇場の桟敷席なのである。」

「彼には、物を所有することによって物から商品としての性格を拭い取るというシジフォスの永久に続く仕事が課せられている。」

『パサージュ論(1)』ヴァルター・ベンヤミン(岩波現代文庫)

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車中、線をひきながら本を読んでいると、「国分寺の家」現場に到着。
根切り、砕石転圧、防湿シート、捨てコンクリート打設の監理。
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  2009年5月13日(水)   
午めし中継。
・きゅうり、大根の浅漬け
・煮た大根の上に、大根の葉のごま油炒め
・切り干し大根とひじき
・温いひやむぎとJAL万能ネギ
・お茶

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5月に入ってから図面を描きまくっている。
設計図書は一冊の書物であり、建築物は建て主の「もの」になるので、設計図書のみが設計者の「もの」として、手元に残る。

当然、恥ずかしいものは、この世に残せない。

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夜、南洋堂にてぽむ企画さんたちと打合せ。
その後、単なる喫茶店だと避けていた「さぼうる」に連れていってもらう。普通に菊正宗が置いてあったので、安心した。

なんだかレジスタンスの地下アジトみたいでおもしろかった。
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  2009年5月12日(火)   
終日事務所にて図面を描く。

午めし中継  「鯛そうめん」

夜、餃子を焼いてみるが、うまくいかない……。
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  2009年5月11日(月)   
ここ二三日、スーパーマーケットに、長崎や熊本の鯛が安くならんでいる。
見つければ、買ってすぐに塩焼きに。

冷蔵庫に入れて、次の日、冷えたものをほぐして食べるとうまい。
鯛そうめんや、鯛茶漬けにもできる。

          §

スーパーマーケットには最近マスも並んでいる。
そう、昔シャケ弁と偽装されてたべさせられていたもの。
だが、そんな時代ではなくなったので、やっと、堂々と商品価値が見いだされてきたようだ。

シャケよりも淡白で、サワラよりワイルドで、うまい。

          §

夜、独りで晩酌をしていると、普請道楽N氏がふらりと、イタリア人漫画家Matteo Ceccarini君をつれてやって来る。
最近講談社で賞をとって、連載ももてるかもしれない、とのこと。

つくりおきしてあったトマトソースの冷製フェディリーニを食べて「ボーノと言ってくれ」と言うと「ボーノ」と言ってくれた。

お墨付きだ(笑)。
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  2009年5月10日(日)   
陽気にさそわれ、vespaでいくつもの橋をわたり、海の方を走り、息を抜く。

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  2009年5月9日(土)   
終日事務所にて図面を描く。

              §

夜、藤圭子のカスバの女と戸川純の蘇州夜曲と優歌団のパチンコを聴きながら、晩酌。
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  2009年5月8日(金)   
朝、洗濯をこころみるが、また降って来て、失敗。
「洗濯物の干してある設計事務所」と化す。

終日事務所にて作業。

               §

夜「蓮根の家」建て主さんに会い、設計が契約より2ヶ月以上も遅延している事をわびる。もちろん、明らかに不利益を与えているので、あやまって済む事ではない……。
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  2009年5月7日(木)   
鴨長明が、隠居のさい庵に持ち込んだのは、琵琶だと思い込んでいたが、調べたら、琴と琵琶だった。

たった4畳半に、ちょっと邪魔じゃないかと思っていると「折琴、継琵琶」という、それぞれ折りたためる琴と、柄がとれて継げる琵琶だった。

あとは阿弥陀の絵像と、法華経8巻。

「芸はこれつたなけれども、人の耳をよろこばしめむとにはあらず。ひとり調べ、ひとり詠じて、みづからココロをやしなふばかりなり」『方丈記』

               §

105mm角の柱は、12.5mmの石膏ボードを貼ると、芯から65mmが室内の壁面となる。しかし、写真のように既成のサッシに枠を設けず、なめらかに光を壁に滑らせるには、20mmふかして85mmとする必要がある。

「部屋を2cmせまくして得られる光」の話はこれでおしまいです。

               §

手摺には「先っぽ」がある。臆病な建築家はその「先っぽ」があまり好きではない。(着物のそでが引っかかったらどうする……、こけて目につきささったらどうする……)

その臆病さで手摺を威嚇すると、手摺は自ら床へとめりこむ道を選んだ。

               §

雨が続き、洗濯ができない。
終日事務所にて作業。
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  2009年5月6日(水)   
「押板三具足。本式のかざり重々口伝多し。」
「大抵用なき器は略してかざるがよし、その人その人の分限も有事なり。」
『南方録』(ワイド版岩波文庫)

朝、ミルクコーヒーを飲みながら、『南方録』をひもとく。

もともとは、押板の上に「香炉、燭台、花瓶」の三具足を並べ、壁に仏画を飾るということが基本。
つまり、床飾りは、仏壇の三具足とその出自を同じにしている。

が、“その人その人の分限も有事なり”だったりとあるように、仏様への思慕がないのに、そうしてもただただ滑稽な形だけのものとなる。

本式の書院には床だけでなく「違い棚」「琵琶床」「書院」といった場所があり、そこには愛用の(自慢の)文房具(硯、墨、筆、紙)、愛用の琵琶(今なら小さなギターか)、食籠(じきろう・かご)、あとは茶道具(釜、水差し、ひしゃく、茶碗など)を飾ればよい。

燭台はキャンドルスタンドと言い換えてもよし、そういった「みたて」で、自分らしさを出すこと。

つまりは、ありのままの生活が、そのまま床飾りになると考えればよい。
心から感動した子供の絵があれば、表装してもらい掛け軸とすればよし。
もちろん自画を自賛してもよし。

その季節、もっとこまかく、節句ごとや、何かの祝い事ごとに、まめにしつらいを変えることが重要で、同じ掛け軸がずっと掛かっているような床の間は死んでいるも同然である。

ディスプレーであり、スタイリングである、がそれが「ありのままの生活」にねざしていることと、分相応であることが肝要である。

               §

都市の過密状況の中では、2階に台所や居間をもってくることが多いが、庭との生活を重視したこの家は、1階にそれがある。そして、庭とのバッファーゾーンとして、コンサバトリーを設けている。

               §

まだG.W.だということを知らなかった。
終日事務所にて作業。午、牛スジ煮込みをつくり、夜食べる。
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  2009年5月5日(火)   
K氏「オーシマさんはアール(曲線)も使うのですね」
K2「ええ、ほら処女作の「長田クリニック」の屋根も、かまぼこ型だったでしょ。」

H女史「このヘリンボーンのフローリング、施主さんの趣味ですか?」
K2「いえ、私の提案です」
H女史「へえ〜乙女チックなところあるんですね、この廻り縁(モールディング)とかも?」
K2「ええ、百年前はあたりまえでした。最近ちょっと流行ってないみたいで、残念です。」

S女史「なんでガラス棚の扉に、引き手がないんですか?」
K2「ここはゲストルーム、何千万円もするおちょこが飾られているとして、夜中酔っぱらって、簡単に扉が開いて、酒盛りはじめたらまずいでしょ。」

K氏「いや〜建築家のロフトいっぱいみたけど、このロフトの梯子、いいね!がっしりしてて。」

H女史「オーシマさんの図面、みやすいです」

S女史「オーシマさんのスケッチが素敵です」

               §

午まえ、スパイラルで和田君が展示しているので、青山まですたすた歩いてのぞいて来る。そのあと、事務所にて設計。

「設計の時、心がける事は?」
「いつも、これが最後の仕事だと思って、やってます。」
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  2009年5月4日(月)   
玄関の上框(あがりがまち)。
ニッポンの建築独特の箇所、結界であるともいえる。

二条城かどこかで、スリッパのままズルズル畳をあがっていく人をみかけて、外国人かと思ったら、ニッポン人で、がっくししたこと。

しかし、昔の犬は、畳の前で立ち止まるし、上框も主人の許可を得ないと乗り越えない。かつ上がる時の犬の恐縮している表情が好きだ。

昨今の座敷犬にも、若干その遺伝子は残っているようである。

               §

「タイル割り、割り切れなけねば、ゴロタ石」
たとえば大磯砂利とかは、もうほとんど輸入品だが、この伊勢ゴロタ石は、まだ三重県で採取されている。1寸5分と指定したが、本当は5〜6寸あるものが、ゴロタ石っぽい。五郎太石ともかく。

設計上、施工上の誤差を飲み込む「逃げ」の部分でもある。

               §  

終日事務所にて作業。
スーパーにて、そらまめを買う。   
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  2009年5月3日(日)   
柱割りから開放され、自由になった畳。
周辺の板敷き部分は、カバンをおいたりするのに都合が良い。

畳を部屋中に「敷き回す」というのは、畳の最終的な姿、なのでこれは原初的な畳の風景であるともいえる。

壁と天井の境を消すために貼られたロールの襖紙には、三尺間隔で五分の重ねしろをとり、均質であることを明らかに拒否させている。

ニッチの高さが低いのは、部屋全体の重心を下げるため。
襖紙が光を吸収しつつ、ニッチは灯る。
灯は読書灯や常夜灯かわりにもなる。

               §

何でもかんでも「蛍光灯の電球色」にしてきたが、たとえば左側のニッチのガラス棚内部などは、昼光色の方がのぞましいと感じた。ニッチ内部に置かれたガラス器の色を涼やかにみせるため。

また季節によって変えてもいい。
冬は暖かみのある電球色、夏は昼光色。

               §

午前、歩いて東急ハンズへ。
今度行った時にさしかえようと、昼光色蛍光灯や、紙ヤスリを買ったり。
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  2009年5月2日(土)   
朝から「鶴ヶ島の家&clane studio」へ。
掃除をされている奥様の脇で、写真撮影。

午後、K2日記の登場人物さん達をお招きし、OCM流の見学会(オフ会みたいなもの)。
オースガさん、和田さん、石井さん、平塚さん、漫画家の佐俣さん、オガサーラ君、K島さん、安斎さん、JV大成さん。

この見学会のために、わざわざギターを壁にしつらえていただいた。みごとなおもてなしだ。

               §

終了後、予約しておいた「海」で、宴会。

お店の人が「これ、建て主さんからです」と、泡盛のボトルをプレゼントされた……。(なんてかっこいいことするのだ……)とつぶやきながら、そんな建て主さんを、皆に自慢する。

夜が更ける。
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  2009年5月1日(金)   
いちご

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  2009年5月1日(金)   
朝から、石塑粘土をこね、小さな家をつくる。
アフター・スタディー(造語)、自分が、何をつくったのかを検証。

概ね、「施主の要望を聞き入れてできあがった」、と逃げているが、本当にそうなのか。
自分の指先からひねり出されるものは何なのか、そこから遠いのか、そのものなのか……。

と言いながら、確実に仕事からの逃避であることは明らか。

               §

午後、観念し、「蓮根の家」実施設計図に着手。
GWは無さそうだ。
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